はじめまして。結婚してください。【紫】② (ページ47)

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例えば『はじめまして！深澤辰哉です！』と自己紹介してた彼。
以前は黒髪で爽やかに笑う好青年だったけど、今は茶髪、ピアスジャラジャラのちょっと不良な感じ。
しかもピアスは、私が買ってあげたやつだった。

例えば『元気でな、』って卒業式で頭撫でて微笑む彼。
以前はヒロインを愛おしそうに見つめていたけど、今はどこかせつなそうな顔で見つめてた。

例えば『こんなとこで会うなんて運命じゃんね？』と言う社会人になってからの彼。
以前はやっぱり黒髪でスーツをピシッと綺麗に着ていたけど、今は茶髪にピアス、スーツは緩く着崩している。

例えば『俺ね、ずっと好きだったの。だからさ、良かったら俺と付き合ってほしい。』そう言ってヒロインと目を合わせて愛おしそうに微笑む彼。
以前の服装は爽やかな綺麗めファッションだったけど、今は、私がどこかで見たことがある服。

私が彼に初めて買ってきてあげた服。

漫画の至る所に私と彼が過ごした証が転がっていた。

「辰哉…会いたいよ」

誰に拾われるでもなく部屋に吸い込まれる独り言。
こんなに好きになるなんて思わなかった。
こんなに大切だって思えると思わなかった。
思ったよりもずっと、私は彼のことが好きだった。